酢豚にパイナップルはなぜ入れるの?
日本の酢豚といえば、ケチャップが使われ、野菜がたくさん使われているイメージではないでしょうか。そして、パイナップルが入っていることもあります。このような調理方法は、中国南方の広東風がルーツです。戦後、日本全国に町中華が増え、酢豚は定番メニューとして広まり、日本人の好みに合うような工夫がされました。
広東では、咕咾肉(グーラオロウ)が酢豚の料理名です。咕咾肉は、酸味には黒酢や米酢を使い、甘さは控えめで、野菜はいろどりとして少量だけ使われます。広東料理には果物を料理に用いる食文化があったため、パイナップルが使われるようになりました。
パイナップルを用いる理由は、自然な甘みや酸味、いろどりを豊かにする効果などがあります。
北京・山東などの北方風では、酢豚は糖醋里脊(タンツゥ・リージー)と呼ばれ、酸味がやや強めで、甘さは控えめ。肉を揚げた後に甘酢あんをからめ、野菜はあまり使わずに肉が主役になっています。
また、上海では糖醋肉(タンツゥロウ)と呼ばれ、肉だけ、または玉ねぎが入っているだけです。いずれもパイナップルは使いません。
最近では、果物を料理に入れることを好まない方も増えてきたように思います。パイナップルを必ず入れなければならないというわけではなく、入れるかどうかは、中国でも地域や店によっても異なります。果物入り酢豚には賛否ありますが、広東の食文化に根ざした味です。ご自分の好みに調整をしてみてください。