食文化を支える世界の「だし」

もうすぐ年の瀬です。年末年始の準備が始まります。おせち料理も現在は和洋中と、バラエティーに富んでいます。それぞれの料理の基本となる「だし」には、どのような種類があるのでしょうか。
日本料理の味を支えるのは、もちろん「だし」です。関西地方でよく使われる昆布だし、関東で一般的に使われるかつおだし、味噌汁によく合う煮干しだし、精進料理などに使われる干ししいたけだし、相乗効果でうま味が強い合わせだし(混合だし)などがあります。いずれも短時間で澄んだだしが取れ、日本の食文化の繊細さを感じさせます。
一方、世界にも各国独自の「だし」があります。フランスのブイヨンやフォンは、肉や骨、香味野菜をじっくり煮出したスープの基礎で、ソースや煮込み料理に欠かせません。中国の湯(タン)は鶏ガラや豚骨、干し貝柱などを使い、透明な清湯(チンタン)と濃厚な白湯(パイタン)に分かれます。韓国のユッスは牛骨や煮干し、昆布などを用いて深い味わいを出します。タイのナムスープは鶏や豚の骨、香草、魚醤などを使った香辛料が特徴的なだし、ベトナムのフォーのスープは牛骨や香味野菜、スパイスを用いた香り高く甘みのあるだしです。イタリアのブロードは肉や野菜を用いたあっさりしただし、アメリカのストックは鶏や牛の骨と香味野菜を煮出し、さまざまな料理のベースに使われます。
だしは料理の基礎でありながら、国や地域の気候や食材、考え方の違いがあります。だしを知ることは、その国の食文化を知ることにもつながりますね。

